そして、案の定、坂井海はお風呂に入っていたようで、洗い髪のままタオルで拭きながら庭に出てきた。
「おお、海。お前も手伝え」
とおじさんから言われた坂井海は、「あ、うん」とは言ったけど、おじさんの傍に立っているだけで、何もしない。
おまけに誰から連絡が来るのか、スマホを触る始末で、ああ、私って坂井海のこういうマイペースなところが好きで、嫌いになったんだと思った。
「こら、和泉。あんたも何か手伝いなさい」
「あ、うん」
そうお母さんに言われ、仕方なく、席を立ち、私は台所へ行き、野菜を切ったり、切った野菜をお皿に盛りつけたりした。
外にいる青山碧に目を向けると、お父さんと談笑していて、「手伝えよ!」という気持ちが湧いてきたけど、よくよく考えたら青山碧、料理がそんなに得意じゃない。
きっと手伝わせたら手伝わせたで、「大人しくしてて!」に変わるだろう。他のことは器用にこなすくせに、どうして青山碧、料理だけできないのか。



