坂井海とは、幼馴染だ。
私のお父さんと坂井海のお父さんも、これまた幼馴染。
しかし、仲はあまり良くなく、二人とも顔を合わせるなり、すぐ喧嘩をし、何かと張り合っている。
幼稚園の頃は、どっちがお遊戯会の主役をするか。
小学生の頃は、どっちがかけっこで一番になるか。
中学生の頃は、どっちが多くバレンタインデーのチョコをもらえるか。
高校生の頃は、どっちが先に彼女ができるか。
大学生の頃は、どっちがいい企業に就職できるか。
社会人になってからは、どっちが年収が高いか、どっちが先に結婚できるか。
そして、家も向かい同士に建てて、今でも、お互いどっちの家の方が大きいかで言い合いをしている。
そんな二人の姿を見てきた反動だろうか。お母さん同士はもちろん、私と坂井海の仲もとてもよかった。
幼稚園の頃から、まるで姉弟みたいにいつも一緒にいた。
私が坂井海をリードし、例えば、坂井海が泣かされていると、泣かせた男の子に向かっていく。
それで喧嘩をして、先生から怒られた時は、決まって坂井海が私の味方をしてくれた。
そうして、私たちは高校も一緒になって、その流れで何となく付き合うことになった。
でも、結局、これが恋じゃないとお互いわかったから、別れることになったのだが。



