そう坂井海が言ったのを聞いて、私は変に納得してしまった。
「そうだった。あんたはそういう変なの好きだったもんね」
「え? 何それ。俺別に変なの好きじゃないけど」
「好きだったじゃん。昔、柿の種にチョコが付いてるやつとか、美味しい美味しいって食べてたし」
「あれは好きな人多いよ? それに、しょっぱいのと甘いのが一緒になってるから画期的なんだよ」
「いや、甘いのは甘いの、しょっぱいのはしょっぱいのでいいと思う」
「それ、和泉、前も言ってたよね」
「別に何度言ったっていいじゃない」
「何? 怒ってるの?」
「怒ってないよ。ただ、あんたが、前も言ってたとか、昔の話を蒸し返すから」
「別にそういうつもりで言ったんじゃないよ」
「そうだった、そうだった。あんたはいつも、そうやって、『俺は悪くない』みたいなスタンスだもんね」
「え、何それ」
「何って、事実でしょ? 小学生の時、市民プールに行ったときも、100円が戻ってくるロッカー代、私が貸してあげたのに、あんたは100円取らずに出てきちゃって。で、何でとらなかったの! って聞いたら、『別にいらなくない?』って誤魔化したでしょ!」
「昔の話、蒸し返すなって言ったの、そっちじゃなかった?」
「ほら、またそうやってすぐ話を逸らす!」



