「はい!」と私も立って、返事をした。


「そして、これからもよろしくね、金井奏太くん」


そう言うと、金井奏太は、海の方へ走り出した。


「ちくしょー! やっぱ可愛い!」


そう叫んだ声は、私の心にも届いて、私も何か海に向かって叫びたくなった。


「私って、もったいなーい! せっかく未来のプロ野球選手と結婚できたかもしれないのにー!」


「んなことねえーよー! 俺たち甲子園予選1回戦落ちだし!」


「あーあ、もったいなーい! 私ってバカ!」


「俺だってバカだ!」


「バカ!」


「バカ!」


と、まあ散々「バカ!」を連呼した私たち。


この中で一番気の毒なのは、初めて会った若者二人に罵声を浴びせ続けられた、海じゃなかろうか……。