「いや、でもいい。それでいい。それがいい」と金井奏太が立ち上がって、私の方を向いた。
「小泉和泉さん」
「は、はい……」
「俺と、正式に別れてくれませんか? そして、これからは仲のいい友達として、付き合ってくれませんか?」
そう言った、金井奏太の目は、海に反射した太陽に照らされて、キラキラと光って見えた。
誰しも、別れ話はマイナスなものと捉える。
でも、関係を新しくするって意味合いも、やっぱり私はあると思う。
これは私に元カレが17人もいたことから得た経験なのかもしれない。
無駄じゃない。恋って何度やって、何度失敗したって、無駄じゃないんだ。
そう、無駄な恋なんて、一つもないんだ。