「小泉和泉! いるか!」そして、真打、廊下側の窓から顔出し登場。
「お、いたな? なぜ返事しない?」
「いるかいないかくらい、見たらわかるでしょ?」
「そんなことより、今日は小泉和泉が陸上部に入ってどんなメリットがあるか、パワポでまとめてきたぞ! 見てくれ!」
と言って、常盤七葉は、ノートパソコンを窓から私に見えるように向けた。
「いい。入らないから」
「徹夜で作ったんだぞ?」
「そんな暇あるなら、勉強しなよ。テスト、散々だったんでしょ?」
「それは言わない約束だ」
いつした、そんな約束。
「とにかく、私は陸上には興味ありません」
「いいじゃないか。この際、興味なくてもいい。入ってくれ!」
「しつこいなあ、帰れよ、D組に」
「入ってくれるまで帰らん! ここを一歩も動かんぞ! テコでも持ってくるか? ふふっ、残念だったな。今の私はテコでも動かんのだ」
……さいですか。
いいや、もう、放っておこう。