そして迎えた放課後。
常盤七葉は瀬花高校陸上部のユニフォームを着て、ウォーミングアップをしていた。
対する私、小泉和泉はというと、瀬花高校指定の体操服姿。
もうこの時点で負けているような気もするけど、何も格好で勝負すべてが決まるんじゃない。
「怪我だけはするなよ?」と金井奏太がストレッチで、私の背中を押してくれながら言った。
「うーん、でも怪我するくらい走らないと勝てない気がするし……」
「バカ! お前まで怪我したら、意味ないだろ。やれることはやったんだ。お前ならきっと勝てるよ」金井奏太、なかなかいいことを言ってくれるじゃないの。
「まあ、勝っても負けても、俺は約束だけ守ってくれたらいいから。んじゃ、頑張って」
前言撤回。やっぱり金井奏太嫌な奴。



