チャイムが鳴って、昼休み。
私は、中庭で重松茂を待たせて、教室で弁当を広げていた秋澤明人の元へ行った。
「ねえ、今日の放課後、時間ある?」
「それって常盤との勝負のこと?」
「え? 秋澤くん、どうして知ってるの?」
「だって、常盤に誘われたからな。『今日の放課後、お前の元カノの小泉和泉と私が勝負する。それに私が勝ったら付き合ってくれ』ってさ」
え? 付き合う? 常盤七葉と秋澤明人が?
「ちょ、どういうこと?」
「俺もよくわかんないんだけどさ、なんていうか、告られた? みたいなことなのかな?」
「『みたいなことなのかな?』じゃないじゃん! 告られてるじゃん、100%」
「やっぱりそうなのか。いやあ、俺ってモテるんだな」
そう言って秋澤明人が笑ったけど、私は突然のことで、戸惑ってしまった。
秋澤明人が、常盤七葉と……。いや、別にいい。だって私と秋澤明人は付き合ってるわけじゃないんだし。でも……。
どうしてだろう。私はすっごく勝ちたい。そう思った。



