さて。トイレには行けたけど、問題は次の授業までどこで時間をつぶすかだ。
このまま保健室に行くのがいいのかもしれない。でも、仮にもし熱が37.0℃台が出てしまったら、念のため家に帰るように言われるかもしれない。
そうなると、放課後、常盤七葉と勝負することができなくなってしまう。
どこで時間をつぶそうか。考えながら私の足は不思議と、屋上へ向いていた。
文芸部の賀来くんの執筆部屋を抜けて、屋上の扉に手をかけたとき、ギターの音が聴こえてきた。
このギターの音、そしてその後から聴こえてくる歌声。私はこの曲を知っている。
「『ラスト・タイクーン』だ」



