隣を見ると、高橋隆人が珍しく授業を聞きながら、板書をしていた。
テストの結果がそこそこよかったからなのだろう。こんな自分でも頑張れば大学に行けると思っているのかもしれない。
そういえば、昨日もそうだった。さっきの授業も板書をしていた。いよいよ本気になったのだろう。やっぱりすごいな、夢がある人は。
他のみんなはどうしてるだろう。
秋澤明人や、野球部のエース、金井奏太、剣道部の重松茂は、真面目に授業を受けている。
キス魔、河野浩介は、隣の席の高身長、広田博と何かを小声で話している。
文芸部の長田治は、原稿用紙を取り出して小説を書いている。
元ヤンキー、柊主人公は、机の上に枕を乗せて寝ている。
三島志麻は、頬杖ついて、窓の外を眺めている。
青山碧は、焼きそばパンを食べている。
そして、当枝冬馬は……ダメだ。トイレに行きたい。
トイレに行きたい。トイレに座って授業を受けたい。トイレに住みたい。トイレになりたい。
このままだと、まずい。このままいると、必ず……。必ず、なんだ? いや、考えてはダメだ。
致し方ない。あの方法を使うしか……。



