「いいか? 100m走では、主に4つの局面があると言われている」
「4つの局面?」
「そう。まずはスタート直後の10~20m間だ。前傾姿勢を保ちながら、加速をする。次に、20~40m間。ここでは、トップスピードに向けて、緩やかにトップスピード手前まで加速をする」
「なるほど……」
「で、40~70m間で、トップスピードに乗る。で、最後の80~100mまでは疲労でスピードが遅くなるが、そこをなるべく維持する走りが重要になる」
「うーん、何となくはわかった……かな」
「一応、各地点に目印になる線を引いておいたから、それを意識して走ってみろ」
「小泉、頑張ってね。僕も応援してるから!」
位置に付く、スターターの人が「オン ユア マークス」と言う。そして、「セット」の声で、腰を上げる。
パンッ!
の合図で、私は飛び出す。
まずは、前傾姿勢を保ちながら加速。
次は緩やかに加速。トップスピードに乗るように。
そして、トップスピード。
それから、このスピードをなるべく維持するように、走り抜ける。
ゴール。
「結果は?」
「うーん、まあまあのタイムだな。もうちょっとスタートで加速できればいいんだが……」
「なるほどね。もう一回やってみる!」



