「もし私が奴隷になったら……裸で踊れとか、目でおせんべいを噛めとか、言われないかな?」
「それはないと思うよ?」と当枝冬馬が言った。
「あ、いや、常盤さんならあり得そう……」
「なんでそんなこと言うの!」
「ごめんごめん……」
「ったく、今更嘆いたってしょうがないだろ」と金井奏太は言った。
「とりあえず練習あるのみ! 当枝も場所貸してくれてるんだしよ」
そう金井奏太に促され、私はウォーミングアップを始める。
今日は部活があって、瀬花高校の運動場は使えないから、代わりに当枝家が持っているという陸上競技場、その名も「トーエダスタジアム」を貸してもらった。
本格的なゴム素材のトラックで、真ん中にはサッカー場もある。
なんでも、陸上の大会やサッカーの大会の予選にも使われるらしい。
そんなところを、急遽、貸し切りにしてもらって、練習。
おまけに、ユニフォームやら、スパイクも当枝冬馬にもらった。
それだけにとどまらず、スターターもいて、ゴールすると、タイムが電光掲示板に表示される。まさに、本格的なスタジアムだ。



