翌週月曜日の昼休み、私はいつもの中庭でお弁当を食べながら、重松茂に秋澤明人の件について話した。


「なるほどね。確かに秋澤くんには立ち直ってほしいと僕も思うけど……」


やっぱり剣道部部長という立場から、同じ運動部の秋澤明人に対して何か思うところがあるのかもしれない。


「それで今、陸上部で私と勝負してくれる人を探してるところなんだ」


「それなら、D組の常盤七葉(ときわななは)さんじゃないかな」


女子陸上部の部長の常盤七葉か。


常盤七葉は確かにとても速い。確かいくつもの大会で短距離で優勝していて、もうすでにいろんな大学から誘いが来ているという話もある。


おまけに、お姉さんの常盤七海(ときわななみ)さんは、陸上選手だって話だ。


確かに、常盤七葉に勝てば、秋澤明人ももう一度走ろうという気持ちになってくれるかもしれない。しかし、問題はそこじゃない。


勝てるかどうか、だ。