そうか。そういえばそうだった。


金井奏太(かないかなた)は、野球部員で、坊主頭。


そして、元カレNo.17。私の直近の元カレだ。


「別れたばっかじゃねえの? それなのに金井に頼むのか?」


そう聞かれると、少しだけ尻込みしてしまう。


でも、少しだけだ。もう別れたんだし、関係ない。


そんなのは小さなこと。私はこれからもっと大きいことをするのだ。


「た、頼むよ! 金井くんに」


「そう。じゃあ、まあ頑張って」と言って、屋上を後にしようとする高橋隆人の腕を、私はひしっと掴んだ。


「なんだよ?」


「……やっぱちょっと不安だから、一緒に頼むの付いてきてくれない?」