私には今、こんなアホのアホ話に付き合ってる暇はない。
どうしたら秋澤明人が本音をさらけ出してくれるか、そればかり考えているのだ。
でも、本当に本音をさらけ出すだけが、解決なのかとも思う。
陸上人生にピリオドを打つことで、秋澤明人は前を向いているんじゃないだろうか。
わからない。彼が今、どういう気持ちなのか、これからどうしていきたいのか。
そういう意味でも、やっぱり私は秋澤明人の本音が知りたかった。
「本音が知りたい……かあ」
そうつぶやいて、ああ、これって自分のエゴなんだなって気づいた。
「本音って?」
と高橋隆人が入ってきた。
「別に何でもない。独り言」
「いつもの癖か。でも本音が知りたいってのは、気になるな。何となく元気ないみたいだし」
「あんたには関係ないよ」
「そりゃ関係ないんだろうけどよお。お前、泣いてただろ?」
そう高橋隆人から言われ、私は慌てて目元を隠した。



