しかし、そんな強さは秋澤明人を救うものでも、なんでもない強さだ。


こんなのは強がりだ。


「ねえ、秋澤くん、ちょっと」


私は新聞部の間に割って入った。


「おお、なんだ。小泉か。どうしたの?」


「どうしたのはこっちのセリフだよ。なんでそんなことしてるの?」


「そんなことって?」


私はここじゃ話にならないと思い、秋澤明人の腕を引っ張った。


「いいから来て!」


「ちょっと松葉杖」


「いいから! って良くないか」


私は廊下に立てかけてあった松葉杖を引ったくり、それを秋澤明人に渡して、教室を出ようとした。


「ちょっとまだ取材が……」


と言った新聞部に向かって、私は言い放ってやった。


「『報道の自由』だとかのたまって、自分を正当化させたうえで、人の不幸や失敗やプライバシーを侵害するなんて、私は絶対に認めない!」そして、周りに向かって、


「それを面白がってる連中も同じく、私は絶対に認めない!」