「秋澤明人くん、いる?」


とすぐに、新聞部の女の子が教室に入ってきて、秋澤明人にインタビューを始めた。


怪我の状態や、どこで何をしてそうなったのか、インターハイには間に合いそうか。


その質問一つ一つに、秋澤明人は「大丈夫だから」と一貫して笑顔で答えていた。


秋澤明人はいつだってそうだ。


私と付き合っていた時から、何も変わっていない。


周りに心配かけまいと、どんな状況に陥っても、秋澤明人は決して笑顔を絶やさない。


この人には誰かを笑顔にさせる力がある。そう思っていたし、そんな秋澤明人に私は惚れて、付き合った。


そして、今もこうしてデリカシーのかけらもない質問に対して、真摯に、しかしどこか誤魔化しを入れて答えている。


こんな時まで、秋澤明人は笑顔を絶やさない。


強い人だなって思った。