新聞部の号外通り、秋澤明人は松葉杖をついて登校してきた。


「おい、秋澤!」と普段は余裕のある河野浩介が、秋澤明人にいち早く駆け寄った。


「お前、大丈夫なのかよ?」


そう聞かれた秋澤明人は笑顔で、「大丈夫大丈夫! そんな大した怪我じゃないから」と言った。


「だってお前、ギブスつけてるじゃん」


「医者が大袈裟なだけだよ。心配すんなって」


「だけどよお。お前、インターハイは」


「それまでには治すって。ほんと、心配ないから」


でもこうやって松葉杖をついた秋澤明人を目の当たりにしてしまうと、信じないわけにはいかなくなった。


しかしそれよりも驚いたのは、河野浩介の取り乱しっぷりだ。


あいつはあんなに感情を表に出すような奴じゃなかった。いつも誰にでもニコニコちゅっちゅしてるようなチャラ男で、そんな河野浩介があれだけ真剣な目で、話している。


同じ運動部として何か思うところがあるのかもしれない。