学校の校門前で、新聞部による学園新聞の号外が配られていた。


『秋澤明人が怪我! インターハイ絶望か?』


私はそれを手に、急いで教室へ行ってみると、秋澤明人はまだ来ていなかった。


「和泉も見たんだ、それ」


と青山碧が話しかけてきて、私は「これって本当なの?」と聞いた。


「うちの学校の新聞部だからね。十中八九間違いないと思うよ」


「でも秋澤くんはまだ来てないんでしょ?」


「朝一で号外配ってたらしいから、昨日のうちにネタを仕入れてたんだよ、きっと」


「でも、でも……」


私は昨日、秋澤明人に会っている。その時は松葉杖なんかついてなかったし、向こうのホームへだって走って渡っていた。


つまり、嘘だ。こんな記事。


「まあ、本人が来たらわかるんじゃないの?」


「そりゃそうだけど……」


それでも私は信じられなかった。しかし、それは秋澤明人の松葉杖姿を見るまでは、の話。