そんなキス魔に、私は嫉妬を通り越した狂気みたいなものを感じた。


なんだろう、その辺の雑草とか、飛んでる虫とか手でとって食べる人を見てどう思うか、に近い感情だったと思う。


結局、私から別れを告げた。河野浩介は、若干渋ったものの、「キミの言う通りにするよ」と言って、了承してくれた。でも、


「別れる前にもう一度だけ、キスさせてくれないかな?」


と言われた。もちろん断った。それからは河野浩介とは一切キスをしていない。