結局、わずか3時間ほどで撮影が終了した。
「みんなお疲れ。春乃、編集よろしく」
と言って、三島志麻は颯爽と帰って行った。
加持くんはカメラを、まなまなちゃんは照明機材を片付け始め、私がボーッと立っていると、春乃ちゃんが、駆け寄ってきて、
「お疲れ様でした! お二人とも、とってもよかったです!」
と言ってくれた。
「本当にこんなのでよかったのか? 俺、めっちゃ緊張してたけど」
と高橋隆人が私も感じていた不安を漏らした。
「はい、大丈夫です! 告白する前の緊張感が出てて、とてもよかったですよ! もちろん、和泉ちゃんも、迫力のある演技でしたよ」
とまあ、お褒めの声をいただいたわけで、とりあえずこれで良かったのだと思う。
にしても、本当にあっという間の撮影で、てきぱきとしていて、おまけに、キミトトクラブの本来の監督も、脚本もいなかったというのだから、この人たちは一体どれだけの映画を撮ってきたんだろうと思った。
私が過ごしてきたよりも、このキミトトクラブは濃密な時間を過ごしてきたのかと思うと、私は今まで過ごしてきた時間がとっても無駄なものに思えた。
でも、まだ3年生は始まったばかりだ。きっとこの先、濃密なものにしようと思えばいくらでもできるはずだ。
できるかどうか、わからないけど、人には人の時間の進み方がある。
私は私の青春を送るだけだ。



