彼は3-Aの加持章くん。1年の時に同じクラスだった。
「加持くんもキミトトクラブだったんだ?」
「まあな」
確か加持くんは、写真を撮っていたイメージがある。女子の部活の写真を撮っていて、変態扱いされていた。見た目はダンディーでかっこいい感じなのに、どこか残念な男の子だ。
「で、このチャラい女が、まなまなちゃんこと、姫野愛華だ。同じ3-Aだよ」
そう加持くんから紹介されて、照明を照らしてた女の子がベランダから教室に戻ってきた。確かに、ポニーテールで、金髪で、制服着崩してチャラいイメージがある。
「あ、今日急遽役者やってくれる子? 本当はうちがやるつもりだったあの役をさ」と言って、まなまなちゃんは私の方を見た。
「あんまりがっかりさせないでよね。もしろくな演技しなかったら、すぐに変わるから」
謎の対抗心を燃やされている。私には演技の知識がないし、技術も未知数だ。そんな私に対抗心を燃やして……なんか、「◯々ちゃん」みたいな名前が付く人には、ろくな人がいないと思った。米米ちゃん然り。