「何怒ってんの?」
「怒ってねえよ! でも、なんかムカつくんだよ!」
「何それ。意味わかんない」
「俺もわかんねえよ! わかんねえけど、お前、なんかムカつく!」
「私だってあんたのことムカつく!」
「んだと、この野郎!」
「何よ!」
一触即発の雰囲気が流れたのか。お互い席を立って言い合いするものだから、周りにいた誰もが静かになった。
「ちょっと、和泉。どうしたの?」
とあのバカな青山碧ですら、心配そうに私の手に触れようとして、でも触れられないみたいになっている。
高橋隆人の方は、柊主人公と当枝冬馬が、それぞれ肩を持って、「落ち着けよ」、「そうだよ、高橋くん。何があったか知らないけど、一旦……ね?」と制している。
「とにかく!」と高橋隆人が私の顔に指さして言った。
「俺はそんな奴、会わねえ!」
「私だってあんたみたいな奴に会わせるもんか! バカがうつる!」
「んだと、てめえ!」
「何よ! やる気?」



