そう答えると、春乃ちゃんはまた紅茶を一口飲んだ。
「じゃあ、その……彼女とかはいるんですかね?」
「彼女? 私?」
「い、いえ、違います」
「なら、碧?」
「もう! 怒りますよ!」
春乃ちゃんは怒った顔も可愛い。なでなでしたくなる。
「ごめんごめん。でも彼女いるかどうかはわからないかな……」
「そうですか……」
と言って、春乃ちゃんは露骨に落ち込んだ。
そんな春乃ちゃんを見ていると、私はだんだん春乃ちゃんの気持ちが伝わってきて、少し怖くなった。
「なら、聞いてもらえませんか?」
「え?」
「その、坊主頭じゃない方の人に、彼女とか好きな人がいないか、聞いてもらえませんか?」
やっぱりだ。坊主頭じゃない方、高橋隆人のことだ。