私は春乃ちゃんの部屋に招かれた。
春乃ちゃんとは勉強会の時や学校でよく話はしているけど、部屋に入るのは初めてだった。
そんな春乃ちゃんの部屋はすごい。壁紙から何までメルヘンに満ちている。
でも、一角だけ黒い。その一角には、パソコンが置かれたデスクがあって、ああここで編集をしているんだと思った。
「勉強の方はどうですか？ 順調ですか？」
と春乃ちゃんは紅茶を淹れてくれた。
「まあまあってとこかな。春乃ちゃんは勉強しなくていいの？」
「はい、春乃はテスト期間に入る前に、お兄ちゃんに教えてもらいましたから、大丈夫です！ 完璧です！」
相変わらず可愛い。抱きしめたくなる。最初春乃ちゃんを見た時、なんだこの可愛い生き物は……！ と思わず抱きしめたほどだ。
そしたら春乃ちゃん、飛び上がって柱の陰に隠れてしまった。それから、しばらく警戒されて、仲良くなるまでに時間がかかった経緯がある。
抱きしめたい。でもよそう。
