しかし、気を遣っているのも、おそらく私だけだろう。
青山碧も、初めて来た高橋隆人、柊主人公も皿いっぱいになるほど料理を積んでいる。
こういうデリカシーのない人たちと一緒にいると、せめて私だけでもちゃんとしないとという気持ちになる。
それでも料理がどれも美味しくて、ついつい品のない取り方をしてしまう。
例えばエビマヨだ。
エビマヨはバイキングの場合、1人4つが妥当な個数だと思う。それでもここのエビマヨは他では食べられないほどに美味しい。
それに量もたくさんあるし、なくなれば補充されるから、気兼ねもどんどん小さくなる。結局、今日は10個も乗せてしまった。
「和泉はほんと、エビマヨ好きだよね」
と鴨肉を頬張っている青山碧が言った。
「マジっすか、お嬢! ここのエビマヨそんなに美味しいんすか?」
とピーマンの肉詰めの肉の部分だけを先に食べ終わった柊主人公が聞いた。
「まあ、美味しいよ。飛ぶよ」
「マジっすか! あっしも食べねえと!」
そう言って、帰ってきた柊主人公の皿には、ピーマンが埋まるほど、私の2倍か、3倍もありそうなほど山盛りのエビマヨが乗っていた。
ほんと、こういうデリカシーのない元カレはひやひやする。



