私はそんな当枝冬馬から、優しく、気を遣われていることがだんだん、申し訳なくなってきて、耐えられなくなって、それで別れることを決意した。
その時でさえ、当枝冬馬は笑って、「残念だけど、小泉が決めたことならいいよ」と言ってくれた。
結局、最後まで当枝冬馬は優しかった。
でも別れた今も、こうして勉強を教えてもらうという付き合い方を私はしている。まあ、青山碧が「絶対当枝くんじゃないとダメ!」って言ったからっていうのもあるけど。
それでも、付き合っている時よりは、その優しさが心地よくて、最近では「ああ、やっぱりこれでよかったんだ」と思える。
だからと言って、付き合わなきゃよかったなんてことは、思わない。付き合ったからこそ今の「よかった」に気づけたわけだから。



