アフタヌーンティーの後、私と青山碧、高橋隆人、柊主人公は、当枝家にある会議室に通された。


まるで首脳会談でも行われてそうな、丸く囲まれたテーブルがあって、まるでスティーブジョブズが新作発表をするみたいな舞台とスクリーンがある。


やっぱり何度ここへ来ていても慣れない。緊張してしまう。


「じゃあ、そろそろ始めようか」


と言って、当枝冬馬は舞台上に立ち、マイクを手にした。


1回目の授業は古典。スクリーンに浮かび上がる枕草子に、当枝冬馬は説明をしながら、赤ペンを入れていく。


「この『あけぼの』の意味はわかる?」


と聞くと、誰も手を挙げない。代わりに私が「夜明け、だよね?」と手も上げずに答えると、当枝冬馬は「そう。その通り。つまり、春は夜明けが一番趣があるって意味なんだ」と言って、授業を続けた。


やっぱり当枝冬馬の授業はわかりやすい。古典のおばちゃん先生よりもわかりやすい。


将来、教師になったら向いてそうだけど、きっとテレビマンになるんだろうな。でも、当枝冬馬よりも、キミトトクラブに入っている春乃ちゃんの方が向いているかもしれない。


そういえば、元カレの将来のことって、付き合ってるときも、もちろん今も、あんまり考えたことなかったかもしれない。