高橋隆人×柊主人公の喧嘩を横目に、アフタヌーンティーを楽しみながら、私はふと気になったことを当枝冬馬に聞いた。


「今日、春乃(はるの)ちゃんはいないの?」


「春乃は朝から自分の部屋にこもってるよ。確か『編集の技術を磨くんだ』って言ってたっけ」


「そういえば春乃ちゃんもキミトトクラブだったもんね」


「『も』っていうのは?」


「あ、なんでもない。こっちの話」


春乃ちゃんというのは、当枝冬馬の双子の妹のことで、ちっちゃくて可愛らしい子だ。


いつも当枝塾が開催されると、当枝冬馬に教えてもらいながら、私と青山碧、春乃ちゃんの3人で一緒に勉強するのだが、いろいろ忙しいのだろう。


なんか、同じキミトトクラブの三島志麻もそんなことを言っていたし。


というか、春乃ちゃんは今回、参加しない方がいいかもしれない。


あんな顔面強面バカ二人いたら、春乃ちゃんのことだ、きっとびくびくして、勉強どころじゃなくなる。


これから1週間。あのバカ二人とも一緒にいなきゃいけない。


「憂鬱だわ……」


と私は母親ゆずりの癖とともに、深いため息をついた。