その当枝冬馬に「勉強を教えてもらいたい」と泣きついたのは、1年の頃の青山碧だった。
青山碧は1年の1学期の中間テストで、数学8点という驚異的な点数をとった。
さすがの青山碧も落ち込んだ。私がパフェを奢ったり、タピオカを奢ったり、ラーメンを奢ったりしても、その落ち込みは3日も続いた。
そして、4日目の朝に言ったのだ「当枝冬馬に勉強を教えてもらいたい」と。そして、その交渉役として私が任命された。
当枝冬馬に頼みに行くと、「ああ、全然いいよ」とすんなりOKしてくれた。
しかも、「それなら、テスト期間中はうちに泊まって、勉強会でもする?」とも言ってくれた。
そして、期末テスト1ヶ月前に、二人で当枝家に泊まり込みで勉強をし、青山碧は見事、数学で96点を、私も全教科最低80点以上をとることができた。
それ以来、私と青山碧は、テスト期間になると当枝冬馬の家で開催される「当枝塾」の塾生になったわけだ。



