文芸部員時代。
1年生の時、初めて書いた小説が、新人賞の最終選考まで残った私は、学校でちょっとした有名人になった。
それをあまり面白く思わない人もいて、それが文芸部の先輩たちだった。
「内容や文章力はともあれ、最終選考まで残るってすごいよ」
というちょっとチクッと刺すような感想を言われ続けた。
中には、「おお、未来の大先生。今日もまた早上がりですか?」なんて茶化す先輩もいた。
それでも私はめげずに、自分のペースで小説を書いた。
しかし、そんな時、いつものように部室で執筆をしていると、同じ文芸部だった長田治が立ち上がって言ったのだ。
「小泉さん、僕はキミの文学が嫌いです」
私は呆気にとられて、何も言えずにいた。すると、方々から、
「俺も」
「私も」
「うん、嫌い」
という声が上がり始め、やがて熱を帯びていった。



