私はああ、この人はなんて不器用なんだろうと思った。
あれは私への嫌がらせじゃなかったんだ。三島志麻への怒りからやったことなんだ。
そういえば、そういう見方をすればつじつまが合ってくる。
もし私が三島志麻に彼女がいることを知っていたらの話だけど。
「三島くんは卑怯者だ。あれは絶対キミが自分のことが好きってわかっているから、あんな思わせぶりな態度をとるんだ。キミは利用されているだけなんだ。それが僕は許せなかった」
「でも、それならもっと他の方法があったんじゃないの? あんなことしないで、例えば私に志麻くんに彼女がいることを言うとか」
すると、長田治は首を横に振った。
「……キミが、傷つくから。そんなのもう、見たくなかったから」
「もう? ってまさか……」



