すると、やっぱり長田治は何も言わない。
長田治はそういう奴だ。肝心なことどころか、普段から何も言わない。
だから私がこうして色々質問したり、察しなければコミュニケーションがとれなかった。
それに疲れた私が別れを切り出して、結局3日で別れた。元カレ史上最短の付き合いだった。
「……逆」
と長田治が口を開いた。
「逆? 何が?」
「……嫌いじゃない。逆」
嫌いじゃないの逆? 好きじゃないって意味だろうか。
「やっぱり好きじゃないってことでしょ? それどころか、嫌いなんでしょ?」
「だから、逆」
「あー、もうっ!」私はしびれを切らして、カウンターをバンッと叩いた。
「はっきり言って! 好きか、嫌いか!」
すると、長田治は、さっきよりさらに俯いて、何も言わない。



