三島志麻は、うんうんと深く頷いた。
「お前、脚本書いてみない?」
「脚本?」
「実は今、我がキミトトクラブは、監督の奴と脚本の奴が、修行編に突入してるんだよ。助監督の俺としても、チームのためにスキルアップしたいと思ってるんだけど、自分じゃどうしても脚本が書けないんだ」
そういえば、三島志麻は映画が好きだった。それに詳しかった。
でも、まさか映像部キミトトクラブに入っているなんて、そんな話、付き合っている前から今の今まで一度も聞いたことがなかった。
三島志麻は基本、自分のことは話さない男だった。帰国子女だって知った時も、私が「英語得意?」って聞いたのがきっかけだった。
「どうして自分のことは話さないの?」と聞いたときは、三島志麻は、「必要ないから」と言った。
三島志麻という男は、どこか周りに壁を作っている。その壁をこっちから壊すか、乗り越えない限り、私たち周りの人間は、三島志麻という人間と出会えないのだ。



