だからあの時も、三島志麻は何の前触れもなく、一方的に別れ話を持ちかけてきたんじゃないだろうか。
それもきっと台本にあったからなんだ。
いつだってそうだ。三島志麻は何でも突然だった。
私と出会う時だって、付き合うことになった時だって、初めて家に来た時も、キスをした時だって、いつも突然だった。
バカ二人の話がスウィーティーのガムから、「魚もカルシウムをとれば、骨が太くなるのかどうか」の話に変わった頃、チャイムが鳴って、古典のおばちゃん先生が入ってきた。
「先日やった小テストを返します。1問でもミスがあった人は、今日の放課後、補習と再テストを受けるように」
周りから「えー?」の怒声が上がる。さすがクラスのほとんどが男子。男の声しか聞こえない。
「1問でも?」や「部活はどうすんの?」の質問が飛ぶ。その都度おばあちゃん先生は、「例外はありません」と言って跳ね除けた。
「じゃあ、順番に取りに来るように。青山さん」



