そう言って、いつもの間抜けた声で、その場にへたり込んだ。そして、すかさず、私の手を取り、
「ごめんね? ひろしくん、手紙に名前書いてなかったでしょ?」
と心配そうに見つめてくる。
「そうね。書いてなかった。だから随分と探すのも手間取ったよ。嫌な奴も、頼らなきゃいけなかったし……」
広田博は、見た目とは裏腹に、かなり乙女だ。
私よりも乙女で、心がとても小さい。「心が狭い」というよりも、小心者という言葉の方が似合う。
でも普段は、そのことを悟られないように、硬派のフリをしている、とても難儀な男なのだ。
私は広田博の本性を知らないまま、付き合った。
それからすぐに広田博の本性を知って、初めはそのギャップに驚きはしたものの、何だか、性別の境界線を軽やかに飛び越えたような人と、話しているような感覚になって、気もよく合った。
でも結局、広田博のことは、ただの友達としか思えなくなって、別れることになった。



