三島志麻と付き合う前に、私は本を読んでいる三島志麻に話しかけたことがあった。
「その本、面白い?」
その時、三島志麻は私に目もくれず、一言、
「世界の秩序を乱すな」
と言った。
その言葉の意味がわからなくて、私は「世界の秩序って本の世界のこと?」と聞いた。
すると、三島志麻は本から目を離して、私の方を見て言った。
「俺がお前と出会うのは、今じゃない。割り込みになる」
「出会う? 割り込み?」
「今はまだ詳しく言えないけど、俺はいずれお前と深い関係になる。それはまではお互い世界の秩序を守って過ごすんだ」
「その深い関係って何なの?」
そう聞いても、他のことを聞いても、もう三島志麻は何も答えてくれなかった。



