工場の前の自販機にもたれかかって、私は仕事終わり、休憩室で本を読んでいた三島志麻を待った。
なんでそうしたのか。どうせ無視されるに決まっている。でも、少しでも話せる機会があるなら、私はその少しのために頑張りたい。
10分ほどして、三島志麻がバイクのヘルメットを持って出てきた。
私に気づいた三島志麻は、一瞬立ち止まったけど、すぐに何でもないといった様子で原付バイクにまたがり、エンジンをかけた。
そして、私の立っていた自販機を通り過ぎる。その時、もう一度目が合ったけど、三島志麻の目からは恨みと悲哀が入り混じったようなものを感じた。
ダメだった。でも明日は原付バイクの傍で待って居よう。
そう心に決めて、私は岐路に着いた。



