私の体は、〝好きな人〟にふれられるだけで喜ぶ単純な、体らしく。
良が、笑っているのが分かる。
きっともうこのまま行為をしても痛くないと、断言できるほど…。
何度も何度も良の名前を呼ぶ私に、良が私の頬を撫でた。
「…だいすき…」
「ああ」
「すき…」
「分かってる」
「良くん、…」
「俺も好きだから」
──あの日、電車の中で見かけた良に出会えてよかった。
彼に、一目惚れをして良かった。
諦めないで良かった──…。
私の事を「好き」だという私の好きな人。
好きな人とこれからもずっと一緒にいたいと、静かに顔を近づけるその人を見て、腕をのばし抱き寄せる私も、静かに瞳を閉じた。
おわり