「…っ」
「ねえってば!!」
彼は私がいつまで経っても口を開かないのに痺れを切らしたのかいきなり大声を出した。
私は少しビクッとなったがなんとか口を開き彼に言う。
「わ…たしにっ、声…かけない…で!」
そう言い残し、私は走ってその場から離れる。
あの一言でも途切れ途切れになってしまう。
「お礼…言えなかったな」
彼がそんなことを言っていたことなんて知る由もない。