日向結斗


『それでさ〜!』
『え、ごめんな何?』
友達の話を私は上手く聞き取ることができず、私は聞き返した。
また笑顔できっと話してくれる。
そう…思ってた。
『聞こえなかったならもういいよ。大した話じゃないし』
友達は顔を曇らせてそう言った。
私は下を向き…。
『…そっ、か。ごめん…っ』
必死に涙を堪えながらそう言った。


「ふぅ…」
私は小さく溜め息を吐く。
昔の夢を見てしまった。
あまり思い出したくない夢…。
「あっ!!陽菜ちゃ〜ん!!」
「っ!?」
突然、後ろの方から大きな声がしてビクッと肩が震えた。
もしかして…と思いながらゆっくりと振り返った。
「おはよう陽菜ちゃん!」
少し離れてたのにあんなに届くなんて…。
私の目の前で止まり、満面の笑みを浮かべているのは…日向結斗。
数日前に偶然…知り合った。
仲良くするつもりなんてなかったんだけど…。
くっ…!あの日…落し物を届けなければ…!!
今頃は平穏な日々を過ごしていたのに。