「唇を借りたいわ」


彼女は微笑む。


「貸してあげない」


わたしは睨む。


「噛むわよ。きっと」

「いいよ。噛んでも」


蜜ちゃんの指が、わたしに触れる。

柔らかで、温かい。


「嫌だってば」


唇が触れる。

触れるだけ。


「危ういわよ」