「あの子ヤクザの娘なんだって」







「あまり近づかない方がいいってお母さんが言ってたよ」





そうだよね、誰もヤクザの娘の私とは近づきたがらない。それが当たり前。




〜ガラガラ〜




「おじょ…花音いる?」





玲だっ!今絶対お嬢って言おうとしてたよね…

私は玲との関係をバレないようにお嬢って呼ぶのを辞めてもらっている。初めは抵抗していた玲だけど、次第に呼んでくれるようになった。




玲には孤独になってもらいたくないもん。




「今行く!」




「なんであの子が玲くんと、」

「少し可愛いからって調子に乗らないでよ」




まぁ、そうだよね。






「お嬢、お弁当食べましょう。」



私の学校は給食というものが無くて、いつもお弁当を食べている。




「なんでいっつも私と食べてくれるの?」





私と食べたら関係がバレちゃうかもしれないのに…



「お嬢に変な虫がつかないようにですよ。」



虫…?




「虫って、あの虫?」




私は木に止まっている虫を指した






「変な男って意味ですよ」



玲は少し笑った後に言った






「玲だってたくさん女の子に好かれてるよ?その女の子と食べたら?」




少しいじけたように言うと、







「俺はお嬢以外の女の人には興味無いので」





そういう所だよ…





「あっ、今日お嬢の弁当にトマト入ってますね」




欲しいってことかな…






「いる、?」





私が言うと、玲は嬉しそうに



「しょうがないので食べてあげます」





トマト好きなんだ、なんか可愛い‪な。。