音に祈りを!歌に願いを!

「え?あぁ、うん……知ってる。陽音、SNSでイラスト投稿してるもんね。イラストを投稿してる本垢も、音ゲーのリザルトとかを投稿してるサブ垢も繋がってるし……」

真空の言葉に、悠は「え!?」と驚いた顔をした。その後、悠は少し悲しそうな顔をする。

「……また、後で俺の垢教えるよ」

僕は、そう言うと悠に向かって微笑んだ。



とある日の夜。両親から逃げるように、僕は外に出ていた。

「……あれ?陽音……?」

聞き慣れた声が聞こえてきたから、僕は声がした方を見る。そこには、悠が買い物袋を片手に立っていた。

「……悠……」

「悠のお友達?」

悠の近くにいる女性の問いかけに、悠は「うん」と頷く。

「初めまして。悠の母です……こんな時間に外にいて……ご両親、心配するんじゃないかしら……?」

「……初めまして……音無 陽音です…………心配しませんよ……僕のことなんて」

僕の言葉に、2人は「え?」と驚いた。

「……僕のことなんて、心配してくれない……そうじゃなかったら、こんな……こんな……っ」

駄目だ……涙が、溢れて止まらないや。

「……家で何かあったの?」

「……」

悠の問いかけに、僕は服の裾を握り締めたまま俯く。

話すの、怖いよ……話したくない……でも、もう限界だから話したい……僕は、どうしたらいいの?