音に祈りを!歌に願いを!

目を覚ましたすぐに、僕は無意識にそう呟いていた。

授業中に寝落ちしたらしくて、授業は大分進められている。

……眠い……落描きしたら、眠気吹き飛ぶかな……。

僕はシャーペンを手に取ると、ノートの隅に落描きをした。

絵を描いてる時間が、1番好きだな。音ゲーをするのも楽しいけど、やっぱり絵を描いてる時の方が楽しいや。

「音無くん」

その声がしたと同時に、僕の肩が叩かれる。勢いよく顔を上げると、教科書を手にした先生が僕を見つめていた。

「……何回も声をかけたんだけど?」

き、気が付かなかった……夢中で落描きしてたから……。

「……す、すみません……」

「私の授業がつまらないからって、落描きしない!でも、絵が上手いから許す。どんどん描きな」

ゆ、許された……!?え、そんなんで許してくれるの?

「えぇ……」

先生の言葉に、僕は苦笑することしか出来なかった。



「……今日、こんなことがあったんだけど……」

僕は真空に会ってすぐに、今日起こったことを話す。

「……面白い先生だね……」

そう言って、真空は苦笑した。

「あの後陽音の落描き見せてもらったんだけど、すごく上手かったんだよ!」

僕の隣にいる悠は、真空に向かってそう言う。