音に祈りを!歌に願いを!




あれから数日後。

ふと目を覚ました僕は、窓に目を移す。いつもよりも早く目を覚ましたらしく、朝焼けの空が目に入った。

「……嫌な、夢を見た……気がする」

そう呟いて、僕は布団から出る。これ以上、今日は眠れそうにないや。

「…………喉、乾いたな……」

僕は立ち上がると、キッチンに移動して水分補給をした。

「…………今日も、父さんも母さんもこんな時間から仕事なのか……はは、しんど」

机の上に置かれた紙を読んで、壁にもたれると床に座り込む。

「……寂しい、な……もっと、僕を……」

僕の頬を、涙が伝った。


懐かしい、夢を見た。僕がまだ小学生1年生の頃の、記憶の夢。

『お母さん!見て見て!僕が描いたんだ!!』

『上手に描けたね』

そう言って、母さんは微笑みながら僕の頭を撫でる。あの時の母さんの笑顔は、今でも覚えてるよ。

『……イライラするなぁ』

その声とともに、場面は変わる。さっきと同じ家だけど、母さんの表情は不機嫌そうだ。

『……ごめん、なさ……』

いつからだったっけ。母さんが、父さんが変わってしまったのって。

『ごめんなさい……生まれてきて――』



「……ごめんなさい……」