音に祈りを!歌に願いを!

そう言って微笑んでいたのは、黒髪に水色目の……数年前に僕が参加した音ゲーの全国大会で一緒に戦ったtearがいた。

「……tear……!久しぶりだね」

「久しぶり。大きくなったし、音ゲーの腕も上げたみたいだね……また、戦える日が楽しみだなぁ」

そう言って、tearは微笑む。ふと悠の方を見ると、悠はキョトンとした顔をしていた。

「えっと……俺、数年前に音ゲーの全国大会に出ててね。そこで、知り合ったんだ」

「……音ゲーにも、大会があるんだ。初めまして……俺は、朝吹(あさぶき) 悠と言います……陽音と同じクラスです」

「……はると……?あぁ、hinatoの本名かな?」

悠の言葉に、tearは少し考えるとそう言って微笑む。

「……そういや、tearと俺はメッセージ送る時もずっとプレイヤー名で呼び合ってるからね……この際、自己紹介しようかな。俺は、音無(おとなし) 陽音。hinatoという名前で、活動してる」

「……そっか……どんな字を書くの?」

「太陽の陽に、音って書いて……はるとって読むんだ」

僕の言葉にtearは少し驚いた顔をした後、「そっか」と微笑んだ。

「じゃあ、僕も自己紹介しようかな。僕は、hinato……じゃなくて、陽音と同級生の相川 真空(あいかわ まそら)。理科で習う、真空と同じ字を書くよ」