「はぁ…」
自然と出たため息。
授業の始まりを知らせるチャイムが鳴る。
───なんで?
シュンは優しいのかな。あたし以外の子に優しくしないで。笑いかけないで。期待させないでよ…。
じんわりと視界が滲む。
「…シュンの、バカっ…!」
一気に糸が切れて、こらえていた涙が溢れた。
なんでシュンは応えてくれないの?あたしはこんなに好きなのに。
「…のぞみ?」
「…っ!」
「なに、おまえ…」
泣いてたから気付かなかった足音。
なんで、シュンがいるの?
「泣いてんの…?」
心配そうな、優しい声。
「どうしたんだよ」
「…授業始まってるよ?」
「無視すんな」
真っ赤であろうあたしの目を、真っ直ぐに見つめるシュン。
やめて。
期待させないでよ…。
優しくしないで…。
