魔術師と下僕


 そして、夏至の夜。
 虫除けの魔術で肌がぺかぺかになった実習班メンバー、シルフィ、そしてジオが集まっていた。
 時計塔の側の庭である。レンがせっせと整備しているおかげで、目立った雑草はない。

 ブルーノ、ヴィットリオら男子は女子がえらく盛り上がっている理由が詳細には分からず、やや肩身が狭そうであった。

 みんなは庭の中央に用意された一つの気球状の物体を囲んでいてーー籠の中には、落ち着かない様子のライナルトがいる。


「あの、これ、さっきから汁みたいなのが落ちてくるんですけど」


 申し訳なさそうにライナルトが言った。


「ああ、植物由来だからね」


 なんでも、校長のつてで用意させたもので、気球の上の部分はでかいウツボカズラのようなものでできている。


「あと、なんかすごい青臭いです」
「植物由来だからね」


 すべてが急拵えなので仕方がない。ジオは内心、いろいろ大変だったんだから文句なんか聞きたくない、と思っていた。


「じゃあみんな」


 ジオは集まった面々の注意を引いた。


「ここからは力を合わせるよ。……不本意ながら」


 ジオが一人で済ませるのがいちばん手っ取り早かったのだが、「アタシの学校で妙なことをするくらいならついでに生徒に魔術を教えろ」という指示があり、仕方なくこうなった。