魔術師と下僕


 結果を言えば、ライナルトはシルフィが人間になることを拒絶した。


「ライナルトが好き。ずーっと一緒にいたいから、人間になりたいの。ね、いいでしょ」


 真っ直ぐに思いを伝えたシルフィに、ライナルトは悲しそうに眉根を寄せて、「ダメだよ」と首を振った。


「どうして? シルフィが本当の人間じゃないから?」
「そうじゃないよ」ライナルトは彼にしては珍しく、強い口調で否定した。「そうじゃない」


 じゃあどうして、と訊ねるシルフィに、ライナルトは静かに言った。「僕が人間だからだ」と。

 イリヤの部屋で、女子三人は泣き止まないシルフィにホットミルクを作り、背中をさすった。どう言葉をかけていいものかわからなかったのだ。

 しばらくそうしていたとき、ふと、ナターリアが気づいた。


「あ。ちょっと待ってください」


 みんなが一斉にナターリアを見た。


「先生が人間だからダメなんですよね。じゃあーー先生が猫になればいいってことっすか?」


 突拍子もない意見に、泣いていたシルフィまでもがえっ? と首を傾げた。